1960年、海の最深部に到達した海洋探検家ジャック・ピカール氏。彼の偉業からインスピレーションを受けて開発されたピカールは、深海を探査する潜水艦を彷彿させるディテールに満ちている。
「バブルレンズが放つ存在感は、筆舌に尽くしがたいレベルです。大きなカーブを描いたさまは、まさに僕らが子供の頃から思い描いていた潜水艦の舷窓のよう。これには、ロマンを感じざるを得ません」
金子氏が着目したバブルレンズは、前面に大きく突出したドーム型構造が特徴だ。高硬度のサファイアレンズを採用しており、傷にも強い。
「バブルレンズゆえに、時計を斜めから見ると光を大きく屈折した様子を眺められるのが楽しいですね。その一方、正面から覗くと歪みは消え、ダイバーズらしいフェイスをしっかりと視認できる。遊び心を加えつつも、時計としての本質は真面目に貫いている姿勢を感じました」
「ケース径は45mmと大きめで、それなりに厚みも重量もあります。写真で見るより、存在感や質感は大きなものがありましたね。ただ、ラグの取り付け位置がケースのボトムに近くであるため、フィット感は良好でした。僕はどちらかというと手首が細いほうなのですが、思っていた以上に腕の上に収まりました」
「シルバーアクセも大好きで、普段からリングやブレスレットも着けています。そこに時計を合わせるのですが、シンプルすぎると存在感が埋没してしまうのが懸念でした。その点、ピカールは申し分なし。モノトーンを基調としたカラーリングや精悍なフェイスデザインも相性がよく、装いのアクセントとして利いています。これがあるのとないのとでは、コーディネートの雰囲気が大きく変わってくると思います」
潜水時、ケース内に入り込んだヘリウムを外へ逃がすヘリウムエスケープバルブや550Mの防水性能など、ダイバーズとしての優れた性能にも目を向ける。
「機能性や精密さを徹底して追い求める姿勢に、男心がくすぐられますね。鉄板入りのエンジニアブーツやホワイトオークを使ったアウトドア用コットといったアイテムを僕が愛してやまないのは、誕生の経緯に必然性があるから。日常生活においてはオーバースペックだったり、今ならもっと便利な代替素材もあったりしても、『それが生まれた理由』に想いを巡らせることに、モノを持つ楽しみや味わいがあると思うんです」
「時計のデザインや好みはさまざまですが、せっかくなら着用した人のキャラクターが伝わるようなものを身に着けたいもの。実用性と個性が同居したピカールは、ベストな1本です。時計を着ける楽しさを再認識させてくれました」
雑誌「Begin」で編集を経験した後にフリーランスとして独立し、メンズ誌やブランドカタログ、広告、オウンド製作など多彩な領域で活躍。また、インドネシアのカルチャーを広めるイベント企画や運営に取り組み、インドネシアブランドのPRやディストリビューターとしても活動している。